幼い頃からの夢と愛する人との未来、その狭間で揺れる女性ピアニストが自らの夢を追い求める決断を下す。彼女は愛を犠牲にしながらも、夢の実現に向けて歩み出すが、彼女の前に立ちはだかったのは、残された命の期限だった。愛する人と最後の時間を過ごすために故郷の地を訪れた彼女は、そこでひとりの若い男性と出会う。彼は20代の茶農家の次男で、代々続く茶葉の栽培と老舗の茶店を営む一家の一員だ。兄が家業を継ぐ一方、彼は進学も家業の手伝いもせず、自分の夢や生き方を模索していた。人生の岐路に立ちながら、女性と青年、そして青年の兄の心情の変化を軸に、荒々しい緑の茶畑と生命の芽吹きが描き出される。やがて、彼らの人生はそれぞれの頑な心と未来への希望に向かって揺れ動き始める。この物語は、夢と愛、生命と別れの深いテーマを、自然豊かな背景とともに静かに描き出している。登場人物の心の動きが丁寧に紡がれ、観る者に人生の儚さと希望を問いかける。静謐な中にも熱い魂の叫びが感じられる、感動的な作品だ。